「出社」の形は社会情勢とともに徐々に変化しています。
在宅勤務OKの会社が徐々に増えるリモート化の流れがありながら、逆にオフィスへの出社に戻りつつある会社も少なくありません。
もしかすると、満員電車での通勤といった「日常」に戻ることが辛い方も少なくないかもしれませんね。
そんな今だからこそ知っていただきたい究極のレジャーである「エクストリーム出社」。
今回はエクストリーム出社や実際の事例、おすすめスポットについて紹介しましょう。
エクストリーム出社とは
エクストリーム出社とは、ビジネスパーソンを中心とした方々の「出社」に、「エクストリーム」、つまり極端さや過激さを加えたエクストリームスポーツ。
出社日の早朝〜定時出社の時刻までの間に、「普通は出社前にそんなことやらない!」ようなアクティビティを行うことで、出社日にも関わらず「非日常」を体験し、リフレッシュやモチベーションアップを実現する、あるいは達成感を得て仕事のストレスを軽減することがエクストリーム出社の基本様式となっています。
アクティビティのジャンルに特段の制限はなく、リフレッシュに繋がるものであれば観光、運動、食事などなんでも構いません。
そしてこのようなエクストリーム出社に身を投じるものは尊敬の念を込めて「出社ニスト」と呼ばれるようです。
近年では会社の福利厚生に「エクストリーム出社支援」が含まれることもあるほどに、その認知度と、健康維持あるいはメンタルケアへの確かな効果に注目が集まっています。
エクストリーム出社の発案者
エクストリーム出社は、一般的なビジネスパーソンであった2人の男性によって発案されました。
1人は現在イベントプロデューサーやライターとして活躍している天谷窓大氏。
Twitter上では熱波師や焼き芋アンバサダーといった非常にユニークな肩書きを添え精力的に活動しています。
もう1人は「しーなねこ」こと椎名隆彦氏。
Twitterでは日常やグルメに関するツイートが多いのですが、M-1グランプリに出場し準々決勝まで勝ち残るなどまさにエクストリームな活動も行っていたようです。
このうち天谷氏は、当時ストレスで出社したくないという気持ちから、早朝から出社までの時間に街をうろつくことが日常だったようです。
この活動を椎名氏が「エクストリームスポーツ」として定義し、実際に2人で箱根湯本温泉で風呂に入ってから出社、高尾山に登ってから出社するといった様子をメディア・SNSで発信したことで注目の的になったとされています。
日本エクストリーム出社協会も存在している
実は発案者の2名を中心に、エクストリーム出社を紹介、普及するための組織「日本エクストリーム出社協会」も立ち上げられています。
Webサイトにおいては、有志によって行われた実際のエクストリーム出社の様子がブログ形式にて紹介され、企業とのコラボイベントやメディアリリースなどの実績も多数掲載されています。
現在は協会の運営会社が撤退したことにより、各種WebサイトやSNSアカウントの更新といった表立った活動は停止されていますが、活動の甲斐あってエクストリーム出社という概念は日本中に根付いているわけですね。
エクストリーム出社のルール
エクストリーム出社で行う活動に制限はないものの、守るべき絶対的なルールが1つ定められています。
それは、「定時に出社する」こと。この鉄の掟がエクストリーム出社を「出社」たらしめているといっても過言ではないでしょう。
その他のルールについて、現在では公式に明文化されたものは残っていませんが、過去に行われたエクストリーム出社の全国大会「全国一斉エクストリーム出社大会」において採用された項目である、
- 自宅からではなく、前日に宿泊して出社してもOK
- 通常の出社時と同じ服装をする
- 怪我は避け、その日の業務に支障をきたさないこと
といった項目がルールとして認識されています。
また、当たり前ですが「他人に迷惑をかけないこと」も注意事項です。
【注意】労災は原則適用外です
エクストリーム出社における注意点として、一部の例外を除き、通勤時に事故や怪我が発生した場合に補償を受けることができる「労災」が適用されない点が挙げられます。
当然といえば当然ですが詳細を説明すると、エクストリーム出社を行い住居、もしくは就業場所から就業場所への移動経路を必要以上に逸脱した場合は、労災保健法における「通勤」としてみなされません。
そのため、「通勤」における事故や怪我を補償する労災保険を受けることができなくなります。
逆に出張等で、やむをえず飛行機や夜行バスを利用して超長距離を通勤する場合は、労災の適用要件を満たす可能性があります。
エクストリーム出社の事例
出勤前に自由に活動するといっても、何をやってみようかと悩む方が多いかもしれません。
そんな方々のために、実際に行われたエクストリーム出社の事例について紹介しましょう。
趣味やレジャーを楽しむ系
登山や海水浴からの出社
登山や海水浴は、エクストリーム出社で最も人気のあるアクティビティの1つ。
書類やPCに囲まれた出勤前に大自然に触れ合うことができる、まさに非日常の体験と言えるかもしれませんね。
ちなみに東京近郊でいえば、比較的アクセスの良い高尾山の登山や、湘南・鎌倉の海での海水浴が人気となっています。
イベントに参加しての出社
深夜から、あるいは早朝から開催されるイベントに参加してそのまま出社するという経路も多くの方が挑戦しています。
最近ではエクストリーム出社ブームに合わせて、あえて早朝から開催される婚活パーティーがみられるなど、より気軽に取り組みやすい出社経路になりつつありますね。
イベントは多岐に渡りますが、特に新たな出会いを見つけたい!という方によりおすすめできる出社経路かもしれません。
観光名所に立ち寄っての出社
観光名所に立ち寄って出社する出社ニストも多いでしょう。
その理由として挙げられるのが、景観を楽しむような観光地の場合は「営業時間」の概念が無いため、深夜でも早朝でも訪れることができる点。
本来は人混みでごった返すはずの観光名所を好きなだけ満喫できますので、ある種の優越感にも浸ることができますね。
長距離・過酷な通勤経路を辿る系
夜行バスで到着してそのまま出社
夜行バスでの移動は体力的にも負担が大きいもの。
旅行や帰省などに伴い、夜行バスを使ってそのまま出社するというのも立派なエクストリーム出社です。
いわゆる「オタク界隈」では、地方のライブイベントに参加し寝ずに出社するというエクストリーム出社で盛り上がるケースも多いように思います。
海外からの出社
エクストリーム出社上級者の中には、飛行機を使って海外から出社する猛者もいます。
海外旅行からそのまま出社するといった場合もあれば、出張などの関係でエクストリーム出社を余儀なくされるということもあるでしょう。
(個人的に後者は「全然リフレッシュできてない」ため、休ませてあげてよ…と思わないでもないですが。)
天候やトラブルによるダイヤ乱れの可能性に加え、空港から勤務地までも高度な移動が求められる空路は、エクストリーム出社においても最大難度の経路だといえますね。
フルマラソンを超える距離を走って出社
通常は電車や車を使って通勤している方が、あえて徒歩を選択し、フルマラソンを超えるような距離を走って出社するという経路も珍しくはありません。
マラソンを趣味にしている方にとっては、練習にもなりリフレッシュにもなる、一石二鳥の経路ですね。
1分1秒を競い、定時に遅れれば社会人失格という緊張感は、実際のレースのリハーサルとしてもうってつけでしょう。
もはやわけわからん系
朝ナンパをしてから出社
朝街中でナンパをしてから出社するというぶっ飛んだ出社ニストもいるようです。
早朝婚活パーティーでは飽きたらず、自ら出会いを探しに行くその姿勢は尊敬なしには見られません。
とはいえ考えてみると、いつも以上に身だしなみを整え街へ赴くため出社後にも良い影響を与えますし、肉体的な負荷も少ないためパフォーマンスアップの意味で合理的なエクストリーム出社かもしれませんね。
ノンアルコール飲み会出社
朝から24時間営業の居酒屋で飲み会を行い、2次会、3次会と楽しんでから出社する…
1日を逆転させたような通勤経路を取っている出社ニストも存在します。
当然飲み会はノンアルコールで、出社後のパフォーマンス維持には抜かりがありません。
個人的にはどうしても物足りない気がしてしまいますが、あまりお酒が飲めない、家に早く帰らないといけないといけないといった方はむしろ参加しやすいのは良い点ですね。
二郎系ラーメンを完食して出社
エクストリーム出社でグルメを楽しむ方は多いですが、ドカ盛りの代名詞ともいえる二郎系ラーメンを完食してから出社する出社ニスト兼ジロリアンもいるとかいないとか。
早朝から開店している店舗が近隣にある場合、食べてから出社すること自体は難しくありません。
ですが、特に営業職の方など人と話す機会が多い職種の方は、「ニンニクマシマシ」だけはやってはいけませんよ。
初心者におすすめ!エクストリーム出社アイデア5選
新幹線を使って出社
新幹線を利用し長距離の通勤をこなすことは、エクストリーム出社におけるメジャーな通勤経路の1つでしょう。
在宅勤務の機会が増えた現在では、普段の通勤経路がすでに新幹線!という方もいらっしゃるかもしれません。
旅行をする、帰省をする、友人の結婚式に参列する、地方のイベントに参加する…このような予定がある方は、メインイベントを存分に楽しむためにも、新幹線でのエクストリーム出社を考えてみてください。
少々交通費は嵩みますが、朝から駅弁を楽しむことができるといったグルメ要素も兼ね備えていますよ。
温泉やサウナを堪能して出社
温泉やサウナに入って、体も心も綺麗な状態で出社するというのもおすすめです。
早朝から営業している、あるいは24時間営業しているようなスーパー銭湯・スパは多いため、初心者でも気軽に取り組むことができます。
リフレッシュ効果はこの上なく、その日の仕事の生産性も上がりそうですね。
慣れてきたらスーパー銭湯ではなく、著名な温泉地を訪れてからの出社というように、出社距離を伸ばしてみてください。
朝市で美味しいものを食べて出社
普段なかなか訪れることがない「朝市」も、エクストリーム出社には最適な場所となります。
特に関東近辺にお住まいの方は、「豊洲市場で海鮮丼やお寿司を楽しんで出社」をぜひ一度やってみてください。
豊洲市場の飲食店は朝4時からオープンしている場所もあり、鮮度抜群の魚介類を味わうことができます。
アクセスもさほど悪くないため、都内在住、もしくは在勤の方であれば多くの方にチャレンジしていただけるのではないでしょうか。
朝釣りを楽しんでから出社
朝釣りに出かけてから出社するというのも良いでしょう。
釣りが趣味の方であれば普段からやっているかもしれませんが、朝釣りはプランクトンが水面に浮上する関係で比較的アタリが出やすいんだとか。
場所によっては日の出を背景に大海原を眺めながらゆっくりと時間を過ごしたり、とてもリフレッシュできる時間を過ごせそうですね。
美容室で身だしなみを整えて出社
個人的におすすめしたいのが、美容室に立ち寄ってからの出社です。
髪をカットし、バッチリ整えてもらって出社する。日頃の身だしなみと比べて清潔感も魅力も数倍アップ間違いなしでしょう。
残念ながら早朝、あるいは24時間営業している美容室は多くはありませんが、都内では新宿などの歓楽街近辺でいくつか店舗を見つけることができます。
出社をちょっとした「アドベンチャー」に!
エクストリーム出社は、ビジネスパーソンであれば誰でも、明日からでも始めれらる手軽さが魅力の1つです。
実施する日は必然的に早寝早起きとなることから、生活リズムを整えられる効果もありますね。
「誰もいない」観光地や通勤電車、「朝なのに」飲み会や豪華グルメ。
一度やってみると、出社経路の全てに非日常が溢れていることを強く実感できるでしょう。
苦労が多い日常の中にも、気分転換ができる非日常を。
是非みなさんも、エクストリーム出社に挑戦してみてください。