先人たちが、過去の出来事や教訓、戒めをわかりやすく残した「ことわざ」。
日常生活においても、一つの共通言語として会話の中で使用されています。
とはいえこのことわざ、中には矛盾しているように感じられるものがちらほら。
そのうちの一つとして挙げられるのが、同じことの繰り返しの中で使われる【二度あることは三度ある】と【三度目の正直】。
これらのことわざも、一見すると矛盾しているように感じられます。
それじゃあ結局三度目はどうなるんだ!ということで、この2つのことわざを考察してみましょう。
二度あることは三度あるとは
「二度あることは三度ある」とは文字通り、「二度起こったことがらは、もう一回(三度)繰り返す傾向にある」という意味です。
故事や有名人、歴史に由来することも多いことわざですが、このことわざは明確な由来はなく、人々の生活の中で自然発生的に生まれたことわざとされています。
一方で起源は古く、1779年にはすでに、日本古来の語り物の1つ「浄瑠璃」にて同様の一節が歌われています。
単に物事の傾向を述べるというよりは、失敗は繰り返してはならない、という戒めの意味を含んでおり、「一度あることは二度ある」といわれることもしばしば。
現代にいたるまで忠告の言葉として、幅広く引用されています。
三度目の正直とは
「三度目の正直」は、「一度目、二度目はだめでも三度目は期待通りになる」といった意味があります。
期待や可能性を示唆する形で、「三度目」の前に使われることもあれば、「三度目」に成功したことを後から振り返る形で用いられることも。
同意語として、「三度目は定の目」といったことわざも存在しています。
負けや失敗が続いた後の励ましとして使われるイメージが多いこのことわざですが、逆に「三度うまくいかなければ諦めるべき」のようにとらえることもできます。
また、「三度同じ結果が続けば、運ではなく実力」といったニュアンスで使われる場合もあります。
反対の意味で矛盾している?
これら2つのことわざは、「3回目が2回目と同じ結果か、違う結果か」という意味では正反対の言葉となります。
確かに「三度目」に焦点を当てると、これらのことわざは一見すると矛盾しているように見えますが、どちらが正しいのでしょうか。あるいは本当に矛盾しているのでしょうか。
どちらが正しいのか?
まずはどちらが「正しい」のかについて考えてみることにしましょう。
実は人間を含む生物の認知メカニズムにより近いのは「二度あることは三度ある」だという研究結果が理化学研究所によって公表されています。
ラットを用いた実験では、過去の体験に付随する情報(音や自身のおかれた環境)から今後起こりえることを予測し行動する傾向が見られ、このことから経験則に基づく、つまりは「二度あったことは三度目もあるだろう」と認知して行動するメカニズムが脳に備わっていると考えることができます。
しかしながら、これらはあくまで脳のメカニズムに限った話であり、実際に「じゃあ三度目はどうなるの?」と聞かれてしまうと当然答えることはできません。
様々な統計を取れば、傾向として「どちらが正しいことが多い」といったデータは出るかもしれませんが、ある1つの出来事に限れば、確実なことは言えないのが事実です。
見方によってはこれらのことわざは全く参考にならず、結局どちらになるかはその時次第、といってしまうこともできます。
意味や意図の違いを考える
重要な点として、これらのことわざは「三度目」の成功、失敗を予想するものではありません。ですから、反対の意味だとか矛盾しているかどうかはどうでもいいのです。
ことわざの背景にある、「失敗を繰り返すな」という忠告や、「次こそうまくいく、期待通りの結果が出る」という励ましこそが本当に伝えたい意味、
いうなれば昔の人たちが伝えたかった内容だと考えるべきでしょう。
また正しさよりも、自分がその状況に応じて「どちらを信じるか」ということも重要です。
アンケートによると、一般的には「二度あることは三度ある」のほうが信じられているようで、「また失敗してしまうかもしれない」とネガティブに考える人が多いようです。
そんな人でも、例えばなかなか勝てなかった相手へのリベンジ、といった局面では、「三度目の正直」と自信を持つことで、より良いパフォーマンスが発揮できることは間違いありません。
矛盾や、どちらが正しいといったことは気にせず、都合のいい時に都合のいい方を信じるくらいの心持ちで良いのではないでしょうか。
まとめ
ことわざはそれ自体の意味や正しさはもちろんですが、「そのことわざを通して何が伝えたいのか」が最も重要なポイントです。
あなたは最近、失敗してしまったことはありますか?そんな時は、「二度あることは三度ある」です。三度目を起こさぬよう、ぜひ注意してください。
あなたは最近、何度もチャレンジしていることはありますか?そんな時は、「三度目の正直」です。きっと次は成功できるはずです。
三度目の結果は神のみぞ知る。ですが、自分が願う結果にそったことわざを信じればきっと良い方向に進むはずです。