大江戸線の走行音はなぜうるさい?騒音の原因は車両とカーブにあった

鉄道に乗るうえで、騒音や走行音は切っても切り離せません。

旅行などで遠出をする際は、「ガタンゴトン」の音が心地よく聞こえることもありますが、基本的には静かなのが理想です。

そんな中、東京都内を走る地下鉄の1つである都営地下鉄大江戸線を利用される方の中には、「大江戸線は走行音がうるさすぎる!」と感じる方も少なくないことでしょう。僕もその一人です。

他の路線と比べ明らかに騒音の大きい大江戸線。その理由はいったい何でしょうか。

目次

大江戸線ってどんな路線?


都営地下鉄大江戸線は、1991年に開業した路線で、6の字型の特長的な路線図で知られています。

当初、「東京環状線」や「都庁線」といった名称が候補として挙がるなか、当時の石原慎太郎知事の推薦もあって「大江戸線」と名付けられました。

建設計画がスタートした1970年代はオイルショック等の不況があり、一時計画がストップするなどの困難もありながら、最終的には当時の最新技術である「リニアモーター」を用い、車両を小型化、トンネル径を縮小する形で運行を開始しました。

光が丘のような郊外住宅地からの主要アクセス手段としてはもちろん、地下深くを運行することから耐震性にも優れ、災害時の非常輸送手段としての役目も期待されている路線です。

大江戸線の走行音・騒音がうるさい3つの理由

①トンネル内で音が反響するから

地上の鉄道では、走行音の反響を軽減するために線路の周りに砂利(バラストといいます)が敷かれているケースがほとんどです。

線路の下が硬い地面やコンクリートになっていると、電車の走行音がそのまま反響してしまい大きな音になってしまう。

砂利を敷くことで走行音が直接反射してしまうことを防ぎ、砂利の間の空洞に走行音が吸収されることによって騒音を抑える仕組みとなっています。

一方で、地下トンネル内での保守整備が地上に比べ困難なため、地下鉄ではコンクリートに直接線路が敷設されているような状態。

下からの反響に加え、上下左右を壁に囲まれている地下鉄は総じて走行音が大きくなってしまいます。

さらに大江戸線は、他の路線に比べトンネル径が小さいため、他の路線と比べるとより反響が強くなり、うるさくなってしまうわけですね。

②急カーブが多いから

実は大江戸線、車輪で動いているもののリニアモーターを動力とする「リニアモーターカー」です。

このリニアモーター、車両を小型化しつつも、勾配やカーブの走行性能を上げるスグレモノ。

そのため、かえって勾配やカーブの多い路線として建設されており、その地形故の車輪と線路の軋みが騒音の原因となっています。

もともと他の地下鉄より後発で建設されたため、既存の路線を縫うような路線にする必要があったことから、仕方のないことでしょう。

ちなみに特にカーブで目立つ「キーン」という音。音量としてはそれほどではないのですが、周波数の関係で人間にとっては走行音より不快に感じるんだとか。

③路面が荒れやすいから

線路上を車輪で走行する鉄道にとって、線路に摩耗や割れが発生することは避けられません。

大江戸線の場合は、勾配やカーブが多いことも影響して路面の異常が発生しやすい環境だと考えられます。

ある調査によれば、路面に荒れがあると10デシベル程度も騒音が大きくなることもあるそう。

もちろんながら、都営地下鉄を運営する東京都交通局では騒音・振動対策の一環として、線路の巡視やレールの定期検査・削正・交換、摩擦音を抑える薬剤の塗布など定期的な整備を行っています。

とはいっても毎日100本を超える電車が走行をしているのですから、日々路面が荒れ騒音が強くなってしまうことは避けられないでしょう。

まとめ

大江戸線がうるさい理由は、総じてリニアモーターを採用し、車両を小型化したところにありそうです。

建設当時の経済状況では、カーブを増やして建設費を抑えてでもなんとか路線を開通させなければいけない事情があり、その影響が騒音として現代に残っているのかもしれませんね。

とはいえ、光が丘のような住宅街から臨海エリアまでを幅広くカバーする大江戸線は沿線の住民にとっては必要不可欠。

少しでも騒音を軽減できるような技術が生まれるといいですね。

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