小学校の社会・地理で誰もが習う地図記号。
身近な地図でも使われていて親しみを感じやすいため、「地図記号を覚えるのが好き!」という方も多いのではないでしょうか。
そんな地図記号ですが、中には「アルファベットに似てるな」と感じられるものがいくつかありますよね。
今回は地図記号の中から、なんとなくアルファベットっぽいものやその記号の由来について集めてみました。
※この記事の内容は国土交通省の組織、国土地理院のWebサイトを参照しています。
国土地理院は日本全域をカバーする最も詳しい地図である「2万5千分1地形図」を作成する組織です。
vみたいな地図記号「畑」
vのような地図記号は、授業で取り上げることも多いためご存じの方がほとんどかもしれません。
そう、「畑」ですね。
畑は、野菜や芝、牛や豚などの餌となる牧草を育てている土地で、ふたばを記号化した結果vサインのような形となっています。
イチゴやスイカといった、「果物に見える野菜」を育てている土地も畑として扱われます。
また、お米の稲は通常田んぼで育てることが多いのですが、中には水を溜めることなく育てるものもあり、この場合も畑になるんです。
また珍しいところでは、パイナップルを育てている土地も実は畑。
同じく果物を育てる土地を表す記号には「果樹園」がありますが、パイナップルは果実ながら「草から生えている」ような姿なのをご存じですか?
そのため、2万5千分1地形図ではパイナップルを栽培している土地は「畑」として扱っています。
ただ近年、その他の地図では「パイナップル畑」のみを示す新たな地図記号も使用されているようです。
yみたいな地図記号「桑畑」
最もyに近い記号は「桑畑」。その名の通り桑を栽培している土地を指しています。
桑の木を記号化しこのようになりましたが、確かに上を向いて枝が伸びている様子がそれらしいですね。
しかしながら桑畑の記号は2013年で廃止されてしまいました。
「消防署」もyっぽい
そのほかのyに見える地図記号としては、有名な「消防署」もあります。
こちらはさすまたという道具を記号化したものですが、さすまたは「人を取り押さえるもの」というイメージもあり、「なんで消防署でさすまた?」と疑問に思う方もいるかもしれません。
実は江戸時代の火消し、今でいう消防士は火の勢いを弱めるために家を壊す道具としてさすまたを使っており、そのことから消防署の地図記号として採用された経緯があります。
t、逆向きのtのような地図記号
t、あるいやtを逆向きにしたように見える地図記号はいくつかあります。
それぞれを見ていくことにしましょう。
tに近い「竹林」「ヤシ科樹林」「笹地」
tのような地図記号はその形から、「木」に関連する土地に多くみられます。
その中でも、「竹林」「ヤシ科樹林」「笹地」の3つがtのように見えるでしょう。
竹林はその名の通り、竹が隙間なく生えている土地に。
ヤシ科樹林はヤシに代表される大型の熱帯植物が生えている土地に。
笹林は笹や篠竹(すずたけ)が隙間なく生えている土地に記されています。
特に「竹林」と「笹地」は記号が極めて似ていますが、植物としての「竹」と「笹」、あるいは「篠竹」も非常に似た姿をしているため、ややこしいですね。
もちろんこれらの記号は、全てその地に生えている植物を記号化したものとなっています。
Tがひっくり返った「墓地」
まさに大文字のTが逆さまになったような記号をしているのが「墓地」。
こちらは墓、あるいは墓石を横から見た形を記号化しています。
尚、同じく「石」をかたどった地図記号に「記念碑」と「自然災害伝承碑」があり、間違ってしまいやすいため注意が必要です。
pやqが横向きに?「広葉樹林」
アルファベットのpやqっぽい地図記号として挙げられるのが「広葉樹林」。
その漢字が表す通り、「広葉樹(広い葉をもつ植物の樹)」が隙間なく生えている土地を表し、代表的な植物としてはシイ、カシ、ブナ、ナラなどが挙げられます。
ちなみに、広葉樹林と対照的なのが針のように細長い葉を付ける「針葉樹林」で、こちらも地図記号が指定されています。
これはこれで、「逆向きのv」に見えるかもしれませんね。
地図記号は意外とおもしろい
改めて見てみると、地図記号って意外とおもしろい、奥が深いと思えるのではないでしょうか。
昨今ではスマートフォンの普及もあり、なかなか紙の地図を目にする機会は少ないかもしれません。
しかしながら地図は、スマートフォンより大きな画面で広域な地形を知ることができるため、今なお根強い人気があります。
そして地図記号も、昨今の時流に合わせて入れ替わり立ち替わりしているもの。
機会があればみなさんも、紙の地図を見てみませんか?自分の住んでいる地域でも、新たな発見があるかもしれませんよ。