数あるボードゲーム・テーブルゲームの中でも、ワードウルフというゲームを耳にしたことがある方は多いのではないでしょうか。
今回はそんなワードウルフの基本的なルールと進め方、そして様々な追加ルール・バリエーションについてまとめてみました。
ワードウルフの基礎知識
ワードウルフは一言でいうならば、会話を通して自分とは異なるお題を与えられた「仲間外れ」のプレイヤーを探すゲームで、いわゆる「正体隠匿系ゲーム」の1つに数えられます。
プレイヤーはそれぞれ「多数のプレイヤーに共通する」お題と「少数のプレイヤーのみが持つ」のお題を配布されるところからゲームが開始、
そしてお題についての意見交換を行うことで、違うお題について話している「少数派」を見つけ出すことが大きな目的となります。
原案者はゲームデザイナーの川崎晋氏。ボードゲーム制作チーム「カワサキファクトリー」の代表を務められています。
現代では幻冬舎がカードセットを販売しており、そちらでゲーム名を知った方も多いのではないでしょうか。
ワードウルフの基本ルール
まずはワードウルフの基本的なルールを見ていきましょう。
幻冬舎より実際のプレイ風景とルール解説動画が公開されているため、併せて見ていただくことでより理解が深まるかと思います。
プレイ要件
①必要なもの
特別な道具は必要なく、ペンと数枚の紙があればプレイ可能です。
また、ワードウルフ用のスマートフォンアプリも複数存在するため、それらを利用しても構いません。
余裕があれば幻冬舎のゲームセットを購入しておくと、スムーズに進められるでしょう。
②推奨プレイ人数
司会進行役1人+プレイヤー3人~10人程度
大人数の方が盛り上がりますが、多すぎても混乱してしまうため10人程度までがちょうど良いでしょう。
プレイ人数やメンバーによっては、少人数で行う方が楽しめる場合もあります。プレイ人数については別の記事でも解説していますので、併せてご覧ください。
③プレイ時間
1ゲーム5分~10分程度
④基本用語・役割
・司会者(ゲームマスター/GM)
お題の決定や各参加者への配布、ゲームの進行を担当します。
・市民(多数派/村人)
後述するお題のうち、多数派のお題を配られたプレイヤーを指します。
各プレイヤーの発言に対する他のプレイヤーの反応を観察し、少数派に当たるワードウルフを見つけ出すことがゴールとなります。
・ワードウルフ(少数派/人狼)
市民とは反対に、少数派のお題を配られたプレイヤーを指します。
少数派故に、周りの発言と自分の考えがずれてしまうため、うまく周りの話に併せて自らの正体を隠すことが求められます。
ゲームの進め方
①お題と役割の決定
司会者が多数派/少数派それぞれに配布するお題を決定し、互いのプレイヤーに見えないように配布。
この段階で同時に各プレイヤーの市民/ワードウルフの役割分担が決定します。
お題は公式ツールであればすでに準備されていますが、GMがある程度共通点の多い2つのお題を考案する形でも問題ありません。
多数派:少数派の比率は2〜3:1としておくと良いでしょう。
すぐに使えるお題集や、お題を考える際のポイントは別の記事で紹介しています。
②プレイヤー同士の話し合い
各プレイヤーはお題を確認したら、自身のお題を隠しつつも、自由に発言や質問を行います。
この話し合いの時間は、5分~10分程度確保するのが一般的です。
ここで起こった議論の内容や、各プレイヤーの反応から少数派のお題を持つワードウルフを見つけ出すことになります。
ワードウルフは「自分が少数派だ」と感じた場合、うまく市民の発言に同調する、あるいは他のプレイヤーへ疑いの目を向けさせることで自らの正体を隠すことになります。
③ワードウルフ(人狼)への投票
議論の時間が終了した後、各プレイヤーがワードウルフだと思う人へ投票を行います。
一斉にワードウルフだと思う人を指さすなどの方法で投票を行い、最も投票数の多いプレイヤーを決定します。
④勝敗の決定
投票終了後、各プレイヤーは自らのお題を公開します。
最多得票数のプレイヤーがワードウルフだった場合は市民の勝利となり、逆に市民であった場合はワードウルフの勝利となります。
追加ルールやバリエーション
ここまで基本ルールを説明しましたが、様々なルールを追加することで違った楽しみ方ができるのもワードウルフの面白い点。
以下、オフラインオンライン問わず多くのワードウルフゲームにおいて採用されている追加ルールの一部をご紹介しましょう。
①お題・役割の追加ルール
・2人/3人で行うワードウルフ
多数派と少数派に分かれる関係上、実質最低人数は司会者を含む4人が必要です。
しかしながら、プレイヤーが少ない場合はそれ以下の人数でもプレイは可能。その場合はお題の配り方やゲームの進行方法を調整する必要があります。
2人/3人でワードウルフをプレイする方法を別の記事で紹介しているので、ぜひご覧ください。
・全員に同じお題を配る(通称「平和村」)
全員に同じお題を配り、多数派/少数派に分かれずにゲームを進行することもできます。
このルールは通称「平和村」と呼ばれ、最終的に過半数が「全員が同じお題である」という結論を出すことができれば全員揃っての勝利となります。
ある人が少数派とみなされ投票されてしまった場合は、最多投票数となったプレイヤーの敗北。
同じお題で「価値観の違い」をさらけ出す形になるため、意見の違いを笑い話にできる環境で行うのが良いでしょう。
・第三陣営「狐」の追加
一定以上の人数がいる場合、市民ともワードウルフとも異なる第三陣営を用意する場合もあります。
この第三陣営を本家人狼ゲームに則り「狐」と呼んでおり、狐に対しては、多数派とも少数派ともかけ離れたお題を配布するのが一般的です。
周囲と話を合わせること自体が困難な状況下で、狐が最後に処刑されなければ勝利とするルールです。
②話し合いの追加ルール
・議論ではなく「質問」に限定
各プレイヤーが自由に発言するのではなく、特定のプレイヤーが質問を投げかけ、他の全員がそれに対して回答をすることで進行する形式も良く採用されています。
チャットツールなどを用いてワードウルフを行う場合、各プレイヤーの発言がスムーズにいかないケースもあるため、発言を質問とそれに対する回答のみとすることもおすすめです。
・発言内容の制限
発言内容次第では、ワードウルフの本質とは違う視点で多数派/少数派が分かれてしまう可能性があり、そうなると盛り上がりに欠けてしまうことも。
いくつかプレイヤーの発言に対して成約をかけておくことで、そのような事態を防ぐことができます。
お題の表記方法
例:「配られたお題はひらがなだよね」「〇文字だよね」のような発言
同音異義語
例:お題が「飴」の際に「雨」に関する話をするなど
英語訳活用の禁止
お題が「LINE」の際に「点と線なら線だよね」といった発言をする
③投票時の追加ルール
・投票順の自由化/投票先の公開
通常は各プレイヤー一斉に投票を行うこととしていますが、順番を自由に投票する形も考えられます。
この場合は「誰が誰に投票をしたのか」が見え、また真っ先に投票したプレイヤーは「自信があるのかな」といった推理も働くこととなります。
早めに投票して、後のプレイヤーの投票先に影響を与えるなどの戦略の幅を広げるルールと言えるでしょう。
④勝敗決定の追加ルール
・相手のお題を当てれば勝利(通称「逆転」)
基本ルールにおいては、最多得票数となってしまったプレイヤーは多数派/少数派問わず敗北が決定。
そのため、処刑されたプレイヤー限定で最後に「相手方のお題を当てる」チャンスを与える通称「逆転ルール」も幅広く採用されています。
市民であればワードウルフの、ワードウルフであれば市民のお題を見事当てることができれば、最多得票数のプレイヤーの属する陣営が勝利するというルールです。
このルールにより、お題がバレてしまいかねない突っ込んだ質問が難しくなり、議論が慎重になることでかえってゲームが盛り上がります。
・最多得票数のプレイヤーが複数いた場合の扱い
最多得票数のプレイヤーがいた場合には、以下のいずれの処理を行うかでゲーム性が微妙に変わります。
- ワードウルフが1人でも含まれていればプレイヤーの勝利
- プレイヤーが1人でも含まれてしまったらワードウルフの勝利
- 最多得票数のプレイヤーを除いた決選投票
これらのルールについては好みもありますので、事前に司会者が決定したうえで各プレイヤーに対して告知しておくようにしましょう。
おわりに
ワードウルフはシンプルなゲームながら、ルールを調整することで様々なバリエーション・ゲーム性を楽しむことができる奥の深いゲームでもあります。
特にアプリを利用してゲームを行う場合はアプリによってルールが決まっていたり、ルールを調整する方がゲームを円滑に進められることもあるでしょう。
皆さんも基本ルールにこだわらず、様々な追加ルールやバリエーションでワードウルフを楽しんでみてはいかがでしょうか。