小中学生に大学生、社会人にも大人気の人狼ゲーム。大人数で遊べるテーブルゲームとして、真っ先に思い浮かぶという人も多いのではないでしょうか。
毎ターンごとに熱い議論をかわし、人狼が誰なのかを当てるこのゲーム。初心者から上級者まで幅広く楽しめ、自然と会話も盛り上がる素晴らしいゲームです。
しかしながら毎ターンごとに脱落者が出るというゲームのルール上、序盤に処刑されてしまい何分も暇な時間を過ごす…そんな事態も発生してしまいます。
中にはその場の流れでいつも1ターン目に脱落してしまう…そんな方もいるのではないでしょうか。私もその1人です。
今回は毎回10分以上もゲームを眺めるだけになってしまう私の悲しみ、嘆きを込め「人望ゲーム」にならないための方法をご紹介しましょう。
みんなに人気の人狼ゲーム
人狼ゲームは複数のプレイヤーが、村人や市民といった一般的な役職、占い師や霊媒師といった特殊能力を持つ役職、そして人狼のような「悪役」に分かれ、誰が人狼であるかを議論し全ての人狼を処刑することで勝利を目指すゲームです。
人狼は自らが人狼であることを隠し自然と振る舞いながらも、毎ターン他のプレイヤーを噛む、つまりは脱落に追い込むことによって数を減らしていくことが主な行動となります。
そしてその他のプレイヤーは、一部の人が持つ「特殊能力」と議論を通じて人狼が誰であるかを探し出します。そして人狼と思わしき人を投票によって脱落させることでゲームを進行していきます。
特殊能力によってより多くの情報を集めたり、脱落してしまったプレイヤーに対する考察を重ねていくことで手がかりを見つけ、人狼が誰であるかを暴くこのゲーム。
終盤になるにつれて議論は白熱し、時にはプレイヤー同士でも意見がぶつかり合うことは珍しくありません。
特殊能力を持つプレイヤーが全員脱落してしまうこともあるため、会話すること、議論することが人狼ゲームの本質。そのため自然とその場が盛り上がるコミュニケーションツールとしても人気を博しています。
時には自ら犠牲になることが有効な戦術ともなり得るため、脱落は決して不名誉なことではなくむしろ議論を加速させるための着火剤ということもできます。
人狼ゲームの問題点
しかしながら、この人狼ゲームには1つの問題点があります。終盤になるほど議論は盛り上がりますが、逆に序盤は情報が少ない中で投票を行う必要があり、場合によっては「誰でもいいから脱落をさせる」といった場面が起こり得るのです。
そのような場合、プレイヤーは誰に投票をするでしょうか。「誰でもいい」つまり「いなくなってもいい」人に票を入れるほかありません。
初対面の方々ならまだしも、友達同士やサークルのメンバーと行う時にこのような場面に遭遇した時あなたは誰に票を入れますか?
きっと「特に仲の良い友達」や「尊敬している先輩」、「みんなの人気者」ではなく、「なんとなく脱落しても大丈夫そうな人」を相手に選ぶでしょう。そのため、人望のない人やいじられキャラは序盤に脱落することが多くなってしまいます。
「なんとなく」という理由で人狼が処刑されてしまった場合は目も当てられません。残された人狼は序盤から仲間を失い、苦しい戦いを強いられることとなります。
人狼ゲームは「人望ゲーム」だった
もうお分かりかと思いますが、人狼ゲームは推理や議論によって人狼を暴き出すゲームである傍ら、序盤においては参加者からの人望が試される、いうならば「人望ゲーム」なのです。
同じような声はTwitterでも多く聞かれます。
自分が「とりあえずで脱落させられるキャラ」であると自覚している方にとっては、いかに序盤を生き残り少しでも長くゲームを楽しむかを必死に考えることも多いでしょう。
ぼーっとしていては「疑わしい人がいないからとりあえず」といったなんの意味もない理由で脱落してしまいます。何人ものプレイヤーが人狼ゲームを楽しむなか、1人脱落し何もできずにニコニコしているのは苦行以外の何者でもありません。
脱落者はプレイヤーにヒントを与えてはいけませんので、基本的にあらゆる発言が禁止されてしまいます。
終盤になり脱落者が増えればゲームに関係のない雑談もできますが、それまでは一体何をすればいいのでしょうか。いえ、何もできることはありません。
人望のない人が生き残るための方法
それでは人望がない人はどのように生き残れば良いのでしょうか。皮肉にもその方法は、人狼ゲームにおいて生き残るためのセオリーと重なる部分があります。
人狼ゲームにおいて生き残る方法は、「自分を生かしておく価値がある」と周りのプレイヤーに思わせること。
例えば1ターンに1度特定のプレイヤーが人狼であるかどうかを知ることができる「占い師」は非常に強力な能力を持っているため、「私は占い師です」と発言すれば多くの場合序盤に処刑されることはありません。
いわゆる「占い師騙り」と呼ばれるこの戦略は、人狼が処刑されないためのメジャーな戦略の1つ。
たとえ占い師を名乗るプレイヤーが2人以上現れどちらかが嘘だったとしても、万一にも本物の占い師を失わないために、どちらが占い師かが判明するまで処刑されることはまずありません。
「占い師」という役職は人望のなさを隠すための最大の隠れ蓑になるわけです。
とはいえ本当に占い師、もしくは占い師の的となる人狼であれば有効な手段なのですが、もし自分が大多数である市民、つまりなんの能力も持たないプレイヤーであればこの戦略は使えません。
本来占い師の味方であり、人狼を処刑することが目的であるはずの市民が「自分が死にたくない」という理由で占い師を名乗り、混乱をもたらすことは人狼ゲームにおけるタブー。
ゲームが終了する際には「余計なことをした人」としてさらに人望を失ってしまうことは避けられません。
それでは自分が市民だった場合はどのようにして生き残ればいいのでしょうか。
ここで重要になることは「生きていてほしい」と思わせること。生きている価値があると思われるためには何も特殊能力を振りかざす必要はありません。特殊能力がないプレイヤーが唯一行使できる力、それが推理と議論です。
序盤から積極的に周りのプレイヤーの発言や振る舞いを疑い、人狼ゲームのベテランを装うことができれば、味方に「この人はきっと人狼を当ててくれる」と思わせることができ、処刑を免れることができます。
役職に頼らず、自らの思考力で存在価値を見出していくこと。これこそ人狼ゲームに求められる要素であり、ゲームを盛り上げるために最も必要な力なのです。
人望ゲームにならないために
いかがでしたでしょうか?人狼ゲームで毎回すぐに死んでしまう…そんな方々の一つの道標となったのではないでしょうか。
人狼ゲームは誰でも楽しめるゲームである一方、特に初心者の方が集まった際には考えなしに人望のない人を処刑してしまいがち。
処刑される側は理不尽だとは思いつつも、場をしらけさせないためにあまり不平不満をいうこともできません。
そのような状況を生まないためには、人狼ゲームを知り、自分の存在意義を周りのプレイヤーに知らしめていくほかないのです。
ただただ人望があるだけで処刑されないリアル役職「人気者」はことゲームにおいて果たせる役割は多くありません。
自分は人望がない。すぐに処刑されてしまう…と思うあなたこそ、人狼ゲームを通して「頭のいい人」という役職を勝ち取ってみませんか?