なぜ飛び込みで記録0点?フィリピンのスプラッシュブラザーズについて

2021年7月24日

youtubeにアップロードされている、いわゆる「おもしろ動画」の数々。

そんな動画一つとして、「飛び込みの選手が二人連続で0点を出した動画」をみたことがある方も少なくないでしょう。

「やっちまった」という表情で落下しながら、大きな水飛沫を上げる姿は確かに笑ってしまうのですが、なぜそうなったの?と気にはなりませんか?

今回はあの珍事が起こるに至った背景や、勇敢にも飛び込み競技に挑んだ二人の選手にスポットを当ててみました。

(動画あり)飛び込みで0点を記録したスプラッシュブラザーズとは

まずは動画と登場人物についておさらいをしておきましょう。

いわゆる水泳競技においては、競泳やシンクロナイズドスイミング、水球の他に飛び込みの競技があります。

飛び込み競技とは、さまざまな高さに設置された飛び込み台からジャンプし、着水するまでわずか2秒の間に様々な技を決めその美しさを競う競技です。

その姿は体操競技にも似ており、ジャンプから着水に至るまでの所作が評価、採点の対象となります。

空中で様々な技を繰り出す選手たち。特に水飛沫を立てずに着水することは「ノースプラッシュ」とよばれ高い評価を得ることができ、観客から見ても非常に美しい飛び込みです。

そんな中で登場したのが、フィリピンの二名の飛び込み選手。

颯爽とジャンプをしたものの、空中で思うような姿勢が取れずに背中から落下し、大きな水飛沫をあげて着水をしてしまった動画が日本でも有名になっています。

凄まじい飛沫に思わず審査員も目を背けてしまうにも関わらず、どこかやり切ったような姿を見せる二人の選手が映ったワンシーン。

この動画は2015年にシンガポールで開催された東南アジア競技大会の一部始終。決して初心者が集まる大会ではなく、国を代表する選手たちが出場する大会です。

飛び込みに失敗したフィリピン選手の名前

この動画に登場するのは、フィリピンを代表する二人の選手。

一人目がジョン・エルメルソン・ファブリガ選手(John Elmerson Fabriga)

二人目がジョン・デビッド・パホヨ選手(John David Pahoyo)です。

いずれも代表として出場するだけあって、他の飛び込み選手にも決して劣らない体つきをしており、競技に望む姿勢にはどこか風格を感じさせます。

しかし結果として0点の演技だけが拡散されることとなり、笑い者や恥晒しのように映ってしまうこととなりました。

スプラッシュブラザーズはこれらの2人の選手に名付けられた愛称で、競技終了後に談笑する姿が兄弟のようにも見えることからこのように呼ばれることになったのではないでしょうか。

一部には「わざとやったんじゃないのか?」とも言われており、実際にフィリピンスポーツ委員会が両選手が調査をしたとかしないとか。

この姿、単なる失敗として終わらせるのはあまりにも酷な気もしてしまいます。

実はシンクロ競技では良い飛び込みを見せている

動画だけが広まっているためあまり知られていないのですが、実はこの二人は0点の試技以外ではなかなかのパフォーマンスを発揮しているようです。

実際に二人一組で飛び込みを行い、完成度と同調性を審査されるシンクロナイズドダイビングでは息のあった演技を見せていました。

残念ながら得点は表示されていませんが、以下の動画がそのシーンかと思われます。

つまり決して実力が無いのに出場し0点を叩き出した…というわけではなく、何かのミスかあるいは思惑があって0点の飛び込みに至ってしまったと考えられます。

また、飛び込みは計6回の試技で得点を競う競技。あまり知られていませんが、この二人の選手が0点だったのは「4回目の試技」のみ。

それ以外では30点〜50点台の評点を得ており、決して高くはないながらも確かに評価をされる演技を見せていたようです。

二人が同じ局面で0点を出す、確かに何らかの意図や作為があったのでは?と疑われるのも仕方のないことかもしれません。

なぜ飛び込みで0点?わざと行った?

それではなぜ、0点を記録するに至ったのでしょうか。

その理由について、大会のその後パホヨ選手本人がコメントを残した動画がyoutube上にアップロードされています。

この動画は日本語ではありませんが、パホヨ選手本人のコメントとともに前述した6回の試技の得点が公開されています。

残念ながらこのインタビューはタガログ語のため、正確な意図を聞き取ることは非常に難しいのですが、コメントを参照するに

・失敗にめげず、前向きに努力しようとしている

・フィリピンでは飛び込み競技に対するサポートが十分ではない

・この二人をただ笑い物として扱うのは悲しい

といったフィリピンの内情にも関係するような感想が上がっており、決して実力がない選手ではないということが伝わってきます。

しかしながらこの飛び込みがミスだったのか、あるいは世界に向けて「フィリピン政府の飛び込み競技に対する意識の弱さ」を発信するために故意に行ったものなのか。

これらを知るのは彼らのみということになります。

さいごに

いかがでしたでしょうか。

飛び込みで0点を記録した姿が「面白い」ことは間違い無いのですが、決して恥ではなく、精一杯戦った結果であることが伝わったのではないでしょうか。

オリンピックを中心としたスポーツの世界大会においては、母国のスポーツ事情が成績に大きく影響するため「一国を代表するとは思えない記録」が出ることも少なくありません。

ただそれは決して選手が悪いのではなく、未だスポーツに対する施設や環境が未だ発展していないだけなのです。

ナンバーワンを目指すことはもちろん重要ですが、自身の実力を最大限発揮できること、それがスポーツにおいても最も大切なのではないでしょうか。

雑感

Posted by かいとー