日暮里・舎人ライナーが無人で怖い方へ。脱輪・脱線事故対策は万全!

東京都にお住まいの方がお出かけをするとなった際、車を利用するよりも、鉄道や地下鉄を利用する機会が圧倒的に多いのではないでしょうか。

東京都の鉄道網は非常に広く、さまざまな路線が整備されていますが、その中でもゆりかもめや東京モノレールをはじめとした最新鋭の交通システムは都内の方のみならず、全国にお住まいの方にも知名度の高いものとなっています。

そんな新交通システムの1つ、日暮里・舎人ライナーは、荒川区〜足立区周辺に住む方々の貴重な交通機関となっている一方、どこか「怖い」という印象を持っている方も多いそう。

今回はそのような日暮里・舎人ライナーの安全性について紹介いたします。

目次

日暮里・舎人ライナーってどんな路線?

日暮里・舎人ライナーは2008年3月に開業した比較的新しい路線で、荒川区の日暮里駅と足立区の見沼代親水公園駅を結ぶインフラとして東京都交通局により運営されています。

一般的な鉄道やモノレールとは異なる「新交通システム」として、小型の車両を軌条(鉄道でいう線路)に沿ってゴムタイヤで自動走行する、 自動案内軌条式旅客輸送システム(AGT)が採用されていることが特徴です。

当時の東京23区においては鉄道・地下鉄多数の路線が開通をしていましたが、足立区西部はバスが主要な交通手段となっており、「23区最後の鉄道空白地帯」と呼ばれていました。

この問題を解決するために開業したのが日暮里・舎人ライナーで、当初は地下鉄として計画されつつも、最終的には建設コストや採算性を加味して高架上を走行する新交通システムとして完成したのです。

現在は通勤ラッシュ時間帯には混雑率189%に達し、東京都でも指折りの混雑路線である一方、その他の時間帯の利用者数が伸び悩みトータルでは赤字経営であるといった困難にも直面しています。

日暮里・舎人ライナーを怖いと感じる人は多い

こんな日暮里・舎人ライナーですが、他の鉄道路線と比べて様々な理由から「怖い」と感じている方が多いようです。

怖いと感じられる理由として大きく以下の3つの理由が挙げられます。

無人で運転されている

日暮里・舎人ライナーは無人で運転されているため、初めて利用する方だけでなく、普段から利用する方にとっても少々不安に感じられるようです。

無人運行においてはコンピューター制御がより徹底して行われているため、ヒューマンエラーによる事故が少ない点はメリットですし、実際には遠隔管理されているため完全に無人で運行しているという訳ではありません。

しかしながら、有事の際にその場で対応してくれる運転手や車掌がいない点が心許ないのはその通りですね。

高所を走行し、軌道脇の壁が低い

日暮里・舎人ライナーはその全区間が高架上となっており、高いところでは地上30メートルほどの高さを走行していますが、軌道の左右に壁はなく、車窓からは荒川区〜足立区の街並みを見下ろすような景色が広がっています。

眺めが良いといえばその通りなのですが、最前席や最後席から見える景色はさながらジェットコースターのよう。

特にカーブを曲がる際に「このまま落ちてしまうんじゃないの?」と感じてしまう方も少なくありません。

過去に脱輪・脱線事故が発生し怪我人が出た

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日暮里・舎人ライナーにおいて過去に脱線事故が発生してしまったが故に、今も不安を感じている方もいるようです。

2021年10月7日に、首都圏で最大震度5強を記録する地震が発生。その影響で3車両が脱線、3名の負傷者が発生しました。

脱線によりそれ以降は全線運休、復興作業にも時間を要し、4日後の7月11日より運行を再開しましたが、これらの一連の出来事より、日暮里・舎人ライナーは一般的な鉄道と比べて危険なのではないか?という印象を持たれるに至っています。

日暮里・舎人ライナーの安全対策

このように怖い、危険といった印象を持たれがちな日暮里・舎人ライナーですが、実際には過去の教訓から安全対策を徹底しているため、決して怖い路線という訳ではありません。

それでは日暮里・舎人ライナーにおける安全性について、3つの観点より紹介したいと思います。

新交通システムの構造に由来する安全性

そもそも新交通システム、特に日暮里・舎人ライナーが採用するAGTは、他の交通機関と比較してより安全な構造であるといえます。

例えば鉄道の構造を考えてみると、極端に言えば「線路の上に車両が乗っている」だけの状態であるため、地震をはじめとした振動や横からの力、線路上の置き石といった急な上下動には弱い構造となっています。

一方で日暮里・舎人ライナーは2本の軌条に内側からゴムタイヤを押し付け走行するような仕組みとなっています。

左右への圧力とゴムタイヤの摩擦により、対振動性は鉄道より高いと言って良いでしょう。

また、物理的に人や車両の侵入や、置き石のような障害物の設置ができないことも、1つの安心材料となります。

定期的な保守管理・災害対策の徹底

車両に限らず、高架や駅舎をはじめとした周辺設備についても定期的な保守管理・改修が徹底されており、東京都交通局の安全報告書によれば、一例として下記のような安全対策が実施されています。

  • 職員に対する法令遵守や、基本作業徹底の指導
  • 車両をはじめとした建造物の導入・改修時の安全性の強化、耐震・耐雪対策
  • 災害発生時を想定した異常時総合訓練の実施、自然災害防止訓練
  • テロ対処訓練

安全報告書はWeb上で公開されていますので、気になる方はぜひ詳細をご覧ください。

緊急地震速報受信時の自動停止機能の追加

過去には地震により怪我人が発生し、大規模な運休が発生してしまったわけですが、その後地震対策として、緊急地震速報を受信した際に全列車を自動で一斉停止するシステムを導入しました。

従来は緊急地震速報を確認次第、手動で全列車の一斉停止信号を送信していましたが、より少ないタイムラグで車両を停止、安全性の向上が期待できます。

この他にも先の地震を踏まえた安全対策として、軌道上の段差を解消することで万一脱輪した際の車両内への衝撃を軽減する対策も行っています。(2022年度中に完了予定)

日暮里・舎人ライナーに限らず、鉄道をはじめとした交通機関は「移動」することが目的。地震のような、通常想定し得ない強力な外力の前で、脱輪・脱線を100%防止することは難しいと言わざるを得ません。

しかしながら、少しでも被害を抑えるため日々技術も進化しています。その点はぜひご安心ください。

日暮里・舎人ライナーは足立区を支える重要路線!

日暮里・舎人ライナーは最新技術を駆使したハイテク路線があるが故に、一見すると危険なのでは?と感じてしまうかもしれません。

昨今話題となっている自動運転やリニアモーターカーの導入についても同様に、最も賛否が分かれる点がその「安全性」と言えるでしょう。

そのためこれらの技術を導入するにおいては、国や関係企業は徹底的な安全基準を設定しており、遵守できて初めて公の運用が許可されています。

すでに開業以来10年を突破している日暮里・舎人ライナーも決して怖い、危ない路線ということはありません。

足立区〜荒川区に住む、あるいは通勤する方々のライフラインとして活躍する日暮里・舎人ライナー。

今後も変わることなく、沿線の生活を支え続けてほしいものですね。

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