皆さんは「インサイダーゲーム」という遊びを知っていますか?
パーティーゲームの1つとして知られるこのゲームは、複雑なルールこそ少ないものの、駆け引きや推理力が試される、非常に奥の深いゲームです。
初めての人にも親しみやすいこのゲーム。基本的なルールとその魅力をインサイダーゲーム歴3年の私がご紹介します!
インサイダーゲームとは?
インサイダーゲームとは、一言でいうと「内通者のいるお題当てゲーム」です。お題を定めゲームを進行するゲームマスターと、そのお題を当てるプレイヤーに分かれ、イエスとノーで答えられる質問を繰り返しお題を当てることで進行します。
しかしながらプレイヤーの中の数名だけは最初からお題を知っている「内通者」であり、お題を当てた後さらに内通者を見つけ出すことが真の目的となります。
もともとは株式会社オインクゲームスが2016年に発売したテーブルゲームですが、その手軽さや奥の深さから今ではボードゲームカフェなどで幅広くプレイされています。
ゲーム名にも含まれる「インサイダー」は「内通者」という意味で、「インサイダー取引(企業秘密の情報をもとに株を買う不正行為)」などの形で耳にしますね。
インサイダーゲームもこの内通者がカギを握るゲームで、最終的にプレイヤーの中で実は最初からお題を知っていた「内通者」を発見できるどうかで勝敗が決定します。
それでは、インサイダーゲームのルールや遊び方、その魅力を紹介しましょう。
基本的なルール
プレイ人数
4人~(ゲームマスターを含む)
プレイ人数の上限はありませんが、5~8人前後がプレイしやすいように思います。
必要なもの
インサイダーゲームをプレイするためのツールとして、オインクゲームスより公式セットが販売されていますが、実際は公式セットがない場合もプレイは可能で、身近にある道具で代用し、プレイすることができます。
筆記用具とプレイヤーの人数分の紙切れ(内通者にお題を伝える際に使用)、ストップウォッチ(質問時間を測るのに使用)程度があれば問題なくゲームを進めることが可能です。
また最近ではインサイダーゲーム用のアプリも複数リリースされており、対面での実施に便利なものもありますのでそちらを利用するのも良いでしょう。
基本用語・役割
▼ゲームマスター/マスター
基本的なゲームの進行を行う役割でとなります。主にお題を確認し、プレイヤーの質問に対し回答する役割を果たします。また、質問時間や内通者探しの時間を管理するタイムキーパーも担うことが大半です。
▼プレイヤー/庶民
お題を特定するための質問や、内通者探しを行う参加者を指します。
▼インサイダー/内通者
プレイヤーとともに質問を行いますが、マスター同様最初からお題を知っており、プレイヤー達を正解へと導く存在です。しかし、同時に自らの正体を隠すことで、勝利を目指すことになります。
人数に関する規定はありませんが、プレイヤー3人に対して1人の割合がちょうど良いでしょう。
ゲームの進め方
インサイダーゲームは基本的に4つのステップで成り立っています。
- 役割とお題の決定
- GMへの質問、お題当て
- 内通者探し
- 勝敗の決定
実際の進め方については細かい文章よりも、実際にプレイしている動画を見てみるのがわかりやすいのではないでしょうか。
ここでは簡単なポイントと、公式パックを利用しない場合のやり方をご紹介しましょう。
役割とお題の決定
まずは各参加者との役割とゲームのお題を決定します。
公式ではそれぞれカードを配布し、ゲームマスター/プレイヤー/インサイダーをランダムに決定することとなっていますが、マスターは立候補制にし、お題もマスターが考案する、等の決め方でもOKです。
インサイダーを決める際も、プレイヤー全員に紙切れを配布し、お題が記載してあるものを配られたら人がインサイダー、といった決め方で問題ありません。
お題の決め方や具体的なお題例は別の記事で詳しく紹介をしていますので、これからプレイする方は以下の内容もぜひ併せてご覧ください。
GMへの質問、お題当て
第1ステップのお題当てです。インサイダー含む各プレイヤーはマスターに「イエス/ノー」で答えられる質問を行い、お題を特定します。
制限時間は公式では5分となっていますが、初心者が多い場合や、お題が難しい場合は最大10分程度まで延長するのもよいでしょう。
質問及びお題の回答は挙手制でも順番制でも構いませんが、1人が質問し続けることが内容事前に決めておくほうが全員が楽しめます。
プレイヤーおよびインサイダーは制限時間内にお題を当てられなければ「全員が負け」となってしまいますので、いかに合理的な質問でお題を絞るかが重要となります。
例えば大きさや色形、食べられるものかどうか、家の中にあるものかどうかなどが王道の質問として挙げられます。
インサイダーは、プレイヤーがお題に近づけるよう質問をしていくことになりますが、飛躍した質問をするとインサイダーであると疑われてしまいます。
例えばお題が「りんご」だったとして、色形もわかっていない状態からいきなり「赤い果物ですか?」なんて質問をすることはお題を知っていない限りできませんよね。
このような質問をしてしまうと一発でインサイダーであることがバレてしまうため、あくまで話の流れに沿って誘導するのがポイントとなります。
ちなみに、インサイダー自身がお題を当てることもかもまいません。公式ではゲームスタート後、いつでもインサイダーの正当が可能と定められています。
しかしながら、あまりに早い段階で正解が出てしまうと面白さが半減してしまいます。インサイダーの正当を不可にする、あるいは「何分経過後はインサイダーの正当も可」といったルールを定めることで、様々なバリエーションを楽しむこともできます。
ゲームマスターはプレイヤーの質問に対して、原則「イエス/ノー」のみで回答しますが、場合によっては簡単な補足を入れるのもよいでしょう。
(例:お題「サッカーボール」→「色は白いですか?」に対し、「白い部分もあります」と回答する等)
また注意点としてマスターは仮に自分が回答できない質問をされた場合は素直に「わからない」と答えましょう。万一誤った回答をしてしまった場合、最悪そのまま答えにたどり着けなくなる危険もあります。
ここでお題を当てることができた場合、インサイダーゲームの最も重要なステップ・内通者探しに進むことになります。
内通者探し
お題が判明した後はプレイヤー同士での議論を通して、隠れた内通者を見つけ出すことになります。ここで内通者を見つけることができれば、晴れてプレイヤーの勝利となります。
公式ルールでは、内通者探しの制限時間が「お題を当てるまでに要した時間」とされていますが、経験上3分程度あれば問題ないように思います。
プレイヤーはこれまでの質問を振り返り、不自然な点や飛躍した質問があった参加者を内通者だと疑う形となります。
公式ルールでは最初に「お題を当てた人」が内通者かどうか?を議論することになっていますが、あまり細かい順序は設定せずに話し合う形で問題ありません。
お題当ての時点で、不自然な質問をしたプレイヤーはいなかったか、意図的にお題に近づけたり、遠ざけて時間を稼いだような質問はなかったかといった視点から、「最初から答えを知っていた」可能性の高いプレイヤーについて議論し、内通者として誰に票を入れるべきかを考えていきます。
お題当ての流れを全て記憶できているプレイヤーは少ないため、全員が積極的に発言することでインサイダー探索の手がかりを見つけ出すことが重要となります。
そして制限時間が終了した段階で、挙手等にて内通者と思われる参加者に投票します。
誰に投票するかは各プレイヤーの自由ですが、投票相手を全員に公開するかどうか、一斉投票or順番に投票など、投票のスタイルによってもゲーム性は変わってきます。
投票スタイルに関しては明確にこれといったものはありませんので、様々なバリエーションを試してみるのがよいでしょう。
勝敗の決定
プレイヤーと内通者全員の投票が終了し、投票数が最も多かった参加者が内通者であった場合は、晴れてプレイヤーの勝利となります。
逆に最多得票数のプレイヤーが内通者ではなかった場合に内通者の勝利となります。
ゲームマスターは基本的には中立で勝敗はありませんが、ルールによってはプレイヤー側の1人として含める場合もあります。
尚、2人以上の参加者が同票数で並んだ場合、決選投票を行う、あるいはいずれかが内通者であればプレイヤーの勝利とする等様々な判定方法が考えられます。
こちらもゲーム性に関わるため、事前に取り決めプレイヤー全員に告知しておくのが良いでしょう。
ちなみに1回1回のゲームで勝敗を決める方法のほかに、複数回ゲームを行い活躍や勝敗に応じてポイント制で勝者を決めるルールもあります。
一般社団法人ボードゲームが定めるリーグ戦のルールがこれに該当しますが、慣れないうちは各ゲームで勝敗を決めていくほうがわかりやすくて良いのではないでしょうか。
インサイダーゲームの3つの魅力
文章にすると複雑なルールに思えますが、インサイダーゲームはボードゲーム初心者の方も容易に楽しめるゲームです。具体的にどのような魅力があるのかを見ていくことにしましょう。
①初心者から上級者まで楽しめる
いわゆるボードゲームは、ルールが複雑だったり、初心者と上級者の間に大きな壁があることも多く、初心者の方が楽しめないケースも多々出てしまうものです。
しかしながら、インサイダーゲームは初心者でも推理や発想で貢献したり、上級者でも内通者を読み違え負けてしまう場合があるなど、経験や実力の差が出にくいゲームとなっています。
加えて、ゲームマスターが独自のお題を設定することでの難易度調節も可能で、上級者が多い場合はものすごく難しいお題を設定する…といったチャレンジも可能です。
初めての方でも、初心者ならではの視点やひらめきでゲームに大きく貢献できる可能性があり、老弱男女誰でも楽しめるようなゲームとなっています。
②場所を選ばない
道具が必要ないため、いつでもどこでもプレイすることができます。
ボードゲームカフェのような決まった場所はもちろん、ファミレスや自宅でも参加者さえ集まればプレイ可能です。
また、ルール次第では参加者が一堂に会さずとも、オンラインの通話アプリやグループチャットでもプレイ可能で、場所を選ばず楽しむことができます。
実際にラインをはじめとしたチャット・通話アプリを通してインサイダーゲームを行なっているサークルも存在します。
③奥が深いゲーム性
単純なひらめきや推理力だけでは勝利できないといった、奥が深いの側面も持っているのがインサイダーゲーム。
例えば、合理的で的確な質問はお題当てに有効である一方、内通者であることを疑われる要因ともなってしまいます。
その場合は、内通者探しの際に質問をした理由を論理的に説明したり、ほかの怪しい人を指摘するといった方法で自らにかかっている疑いを晴らす必要が生じます。
また内通者は必ずしも積極的に質問をする必要がなく、質問の流れから自然と答えが出ると判断した場合無難な質問を繰り返し、プレイヤーの中に潜伏するといった戦略を取ることも可能です。
「お題当て」と「内通者探し」の2つのステップがあるからこそ、単純な推理力だけでない戦略性や、観察力が必要となってくるのです。
インサイダーゲームで活躍するためのコツ
インサイダーゲームのルールや魅力についてはわかりましたが、せっかく遊ぶのならば活躍したいですよね。
ゲーム終了後に「いい質問をしたね」だったり「内通者だなんてわからなかった」と言われるのはとても嬉しいですし、ちょっとだけ得意げになれるものです。
そんなあなたに、インサイダーゲームで押さえておくべきコツをちょっとだけ伝授しましょう。別の記事でも詳しく紹介していますので、よければご覧ください。
お題当てにおけるいい質問
お題当てのフェーズでは多くの場合、質問を通して「イエス」の回答をもらうことでお題に近づくことができます。
それではお題に近づくための「いい質問」とはどのようなものなのでしょうか。これはゲームの序盤か終盤によって異なってきます。
序盤においては、いきなり細かい質問をせずにまずは幅広いものが該当するような質問をすることで、着実にお題に近づいていくことが重要となります。
例えば「食べ物?」や「人間?」といった具体的な性質に関する質問よりも、「姿形のあるもの?」であったり「人間より大きい?」といったお題の形態に関する質問をすることで徐々にお題に近づいていくといったことが挙げられます。
逆に残り時間も少なくなる終盤においては、ある程度お題の特徴は絞られてきているためひらめきや柔軟な発想が鍵となります。
それまでに質問で得られた情報を最大限膨らませ、時には独自の視点から質問を行い「イエス」を得ることができれば、正解に大きく近づくことができます。
内通者を見つけ出すコツ
お題が判明し、内通者を探し出すフェーズにおいてはお題当ての際の「違和感」に気付けるかどうかがポイントとなります。
内通者は答えを知ってしまっているため、なかなか通常のプレイヤーと同じ振る舞いはできないもの。
質問の流れを大きく飛躍してお題に近づいたような質問がなかったか?あるいは逆に「意図的にお題を外している、姿を隠している」ような質問がなかったか?を思い出し、そのような質問をしたプレイヤーを内通者として疑い、積極的に発言をしていくことが重要となります。
内通者であることを隠すポイント
自分が内通者だった場合は、プレイヤー達をお題へと誘導しつつも自らは正体を隠す必要があります。
正体を隠すためのポイントは「内通者を見つけるコツ」の反対。つまりは周りの質問に同調しながらも自然な流れでお題へと近付く質問をすることが重要となります。
また、内通者探しのフェーズにおいては積極的に発言し、他のプレイヤーに疑いをかけていくのも良いでしょう。
もし先に自分の怪しい点をプレイヤーに指摘されてしまうと、なかなか反論は難しいもの。そうなる前に他のプレイヤーの違和感を指摘し、疑いの目を逸らすことが大切です。
インサイダーゲームで遊ぶ方法
インサイダーゲームは特別な道具がいらずシンプルなルールのため、友達同士での対戦はもちろんビジネスにおけるアイスブレイクから飲み会に至るまで幅広く親しまれています。
とはいっても友達同士で大人数で集まるというのもなかなか難しい、特に社会人の方だと「そんなに集まれる友人がいない」ということもあるかもしれません。
そんな時のために、インサイダーゲームを気軽に楽しむための方法をいくつか紹介しましょう。
ボードゲームカフェに行く
様々なボードゲームで遊べることをウリにしているボードゲームカフェでは多くの場合、初心者の方も楽しめるゲームとしてインサイダーゲームを用意しています。
ボードゲームカフェでは、ゲームに慣れているスタッフの方がゲームマスター、あるいはプレイヤーとして参加してくれるため、初めての方も安心してプレイをすることができます。
また、店に居合わせた他の方々を集めてゲームを行ってくれるカフェもあるため、1人でも楽しむことができるでしょう。
オンライン会議ツールを使う
友達はいるけど集まれない、地元から引っ越したため遠くに友達がいる、といった方にはLINEやzoomといったオンラインで通話ができるツールを利用することも有効です。
内通者の決め方やお題の伝え方など少々ルールを工夫することは必要ですが、それでもシンプルなゲーム性ゆえ基本的には問題なくプレイできます。
ビデオで手元を映す必要もありませんので、スマートフォン一台があれば大人数で楽しめるのもインサイダーゲームの良いところです。
インサイダーゲーム用アプリで遊ぶ
近くにボドゲカフェがない、友達も少ない…そんな方もご安心ください。実はインサイダーゲームが遊べるアプリがいくつか公開されています。
残念ながらアプリの数は決して多くはありませんが、それでも自宅にいながらオンライン対戦ができるアプリも存在するのです。
また、よりメジャーなボードゲームである「人狼ゲーム」と似た役割分担となっていることもあり、人狼ゲーム用アプリを流用してインサイダーゲームをプレイすることも可能。
具体的なアプリ名については長くなるため、別の記事にて紹介していますので併せてご覧ください。
まとめ
いかがでしたか?インサイダーゲームの遊び方や魅力は伝わったでしょうか。
場を選ばずに楽しめるこのゲームは、初対面の人との交流はもちろん、気心知れた仲間との真剣勝負まで幅広く活躍することでしょう。
また、お題を当てる際に様々な推理を巡らせることにより、発想力やロジック力を鍛える効果もあるかもしれませんね。
ぜひ皆さんも、プレイしてみてください!