皆さんも一度は、百人一首で坊主めくりを楽しんだことがあるのではないでしょうか。
上の句や下の句、歌人などを覚えて競う百人一首本来の「かるた」としての遊び方は、知識や慣れが求められるため初心者の方や小さい子どもには敷居が高いもの。
「坊主の札を引いてはいけない」という単純な遊びである坊主めくりは、家族や親戚の集まりから学校行事まで幅広く取り入れられています。
しかしながらシンプルな坊主めくりで唯一扱いに困る札…それが蝉丸。今回はそんな蝉丸が出た時の面白ルールを調査しました。
坊主めくりのルールの確認
冒頭に記載した通り、坊主めくりは非常にシンプルなルールで、老弱男女誰でも楽しめるゲームとして知られています。
基本的なゲームの流れとしては、百人一首の読み札を裏向きで重ね、プレイヤーが順番に札を引いていくことで進行し、最終的に手元に残った札の枚数で勝敗を決定します。
その中で引いた札に書かれている人物によって様々な効果が発動し、手札が増減するという寸法です。
様々なローカルルールがありますが、多くの場合共通しているルールは以下の通りです。
①男性の札を引いた場合:特に効果はなく、そのまま手札として加える
②坊主の札を引いた場合:手札を全て捨てる
③特殊な札(女性の札や、天皇の札)を引いた場合:坊主によって捨てられた札を手札に加える
特にルールが分かれやすいのが③の「特殊な札」で、女性の札やより位が高く「雛壇」に乗っている天皇の札が該当するケースが多いですね。
場合によっては「女性天皇」にさらなる恩恵がある場合や、捨て札がない場合に特殊な札を引くともう一度札を引くことができるといったルールもあります。
これらのルールについては、別の記事でも紹介していますので併せてご覧ください。
このように、非常にわかりやすいルールなのですが唯一問題になることが多いのが蝉丸。
蝉丸は謎の多い人物で、一説には歌人であり僧侶、つまり坊主であるとされています。
しかしながら、百人一首のメーカーによって坊主として描かれている場合もあれば、被り物をしており一見すると坊主とわからないように描かれている場合もあります。
そのためローカルルールによっては、蝉丸にだけ唯一無二の特殊な効果が与えられている場合も少なくないのです。
坊主めくりで蝉丸が出た時のルール
そもそも坊主めくりには公式ルールが存在しないため、蝉丸を引いた時のルールについても千差万別です。
今回はそんな蝉丸を引いた際にどのような特権が与えられているのか、様々なローカルルールを調査してみました。
①通常の坊主札として扱う
一般的に多いのは通常の坊主札として扱い、引いた人が自らの手札を全て捨てるというルール。
あくまで蝉丸を坊主の一人としてみなすこのルールは、小学校など、小さな子どもたちで遊ばれる場合に適し、坊主めくりの基本ルールに沿った扱いだということができます。
ただ、大人になってから坊主めくりをすると少々物足りなくも感じてしまいます。
②全員が今持っている手札を捨てる
私がよく採用していたルールは、蝉丸が引かれてしまった場合は引いた人に限らず全てのプレイヤーが全ての手札を捨てるというもの。
蝉丸が出てしまった場合はその場でゲームは振り出し。次に女性や天皇といった「捨て札を手に入れる札」を手に入れたプレイヤーが大きなアドバンテージを得るルールです。
坊主めくり自体、坊主を引いた瞬間にトップから最下位に転落するゲームですが、問答無用で全員を一文なしにするこのルールは単純ながら強力なルールとして君臨していました。
③蝉丸を引いた時点でその人の負け(勝ち)
次に採用していたのが、蝉丸を引いた時点でその人の負けというもの。
最後の1枚まで逆転の可能性があるのが坊主めくりの醍醐味ですが、それすらも無視し引いた時点で問答無用で負けという理不尽なルールです。
このルールが採用された場合はもはや「蝉丸めくり」であるといっても過言ではありません。疫病神そのものです。
逆に蝉丸が引いた時点でその人の勝ちというルールを用いる場合もあるのですが、なんとなく「蝉丸で勝ち」というというのがおもしろくないため少数派かと思います。
④蝉丸を引いたプレイヤーが1回休み
蝉丸を特別扱いするものの、ゲームを崩壊させたくない場合は単に「1回休み」として処理する場合もあるようです。
通常のルールにおいて「1回休み」という処理はないため、確かに唯一無二の蝉丸ルールではなるのですが、
手札が激しく増減する坊主めくりにおいて1回の休みが勝敗に影響することはあまりありません。少々物足りないですね。
⑤男性札として扱う
蝉丸は坊主ではなく、通常の男性札として扱うルールもあるようです。
坊主の定義は本来「髪がない」ことではなく、「法師」や「僧正」のように仏の道に身を置くものとしての称号が与えられていること。
その意味では「蝉丸」という名前は邪道。まさに芸名のようなものであり、本職のお坊さんから見れば「坊主」としては認められないものかもしれません。
⑥みんなの手札をもらうことができる
デメリットのない強力なルールとしては、蝉丸を引いたプレイヤーが他の全員の手札をもらうことができるというものもあるようです。
本来坊主を引いて捨てられたカードを特殊札でもらうことでしか「他のプレイヤーの札を奪う」ことができない坊主めくりでは強力なルールですね。
ただしこのルールでは性質上「最後の札が蝉丸だった場合」に引いたプレイヤーの勝ちが確定してしまうため、「最後の札が蝉丸だった場合のみ引いた人の負け」という扱いをする場合もあるようです。
⑦盤外で罰ゲームを受ける
蝉丸を引いた場合、坊主めくりのルールとは関係なく「罰ゲーム」を受けるローカルルールもあるようです。
もはや単に蝉丸を面白がっているだけとしか思えません。かわいそうです。だがそれがいい。
まとめ
みなさんが採用している蝉丸ルールはありましたでしょうか?
坊主めくりは誰もが楽しめるゲームでありながら、ゲームを通して天皇から僧正に至るまで昔の歌人たちの階級、経歴を学ぶことができる教育的ゲームでもあります。
そんな中で「最強・最凶の札」の扱いをされる蝉丸はある意味では天皇以上の絶対的存在と言ってしまってもいいかもしれません。
家族で、友達で、合コンで、これを機にぜひ坊主めくりを遊んでみてください。